破産者等の情報を大量にインターネットで公開するサイト「破産者マップ」をなくしましょう。

破産者等の情報を大量にインターネットで公開するサイト「破産者マップ」をなくしましょう。
現在の支援総額
1,814,800
36%

目標金額:5,000,000円

支援者数
407
残り
終了

このプロジェクトへの募集は終了しました。

破産者等の情報を地図上に可視化した「破産者マップ」というサイトがあります。このサイトは、掲載された人の名誉やプライバシーを侵害するなどの大きな悪影響をもたらします。「破産者マップ」の完全な閉鎖を目指し、可能な法的措置を講じます。費用をご支援ください。

活動報告

2019-03-20

【声明文】「破産者マップ」の閉鎖を受けて、今後の弁護団活動について

私たち弁護団が設立を宣言した2019年3月18日午後10時から数時間が経過した翌19日午前1時過ぎ、「破産者マップ」(以下「本件サイト」といいます。)開設者と思われるTwitterアカウント(以下「本件アカウント」といいます。)から、本件サイトの閉鎖が宣言されました。本件サイトが閉鎖されたことにより、いったんは被害の拡大が止まったこととなり、望ましいことです。

しかしながら、以下の理由により、弁護団としては活動を継続して必要な法的手続き行い、本件サイトの開設者を特定した上でその責任を追及し、一定の措置を講じるべきと考えています。

1.本件サイトの管理者が信用できないこと

本件サイトの閉鎖後、本件アカウントからは「日本に眠っているまだ活用されていない国や自治体がもつデータを、個人を特定できない形にした上で、研究者に加え、この国に住む誰もが自由にアクセスできる国になってほしい。・・・・データに基づいて物事を理解、判断、実行、評価する国になってほしい、という私なりの日頃の思いを形にしたもの」という投稿がされており、本件サイトの開設者が公益的な目的により開設におよんだかのようなことも述べられています。

しかしながら、その発言に反して本件サイトの掲載情報は、実名により個人が特定できる形であり、データの構造から氏名等を匿名化することは容易であったと考えられるにもかかわらず匿名化処理もされず、およそ「個人を特定できないような形にした上で」という形式ではありませんでした。また個人情報の削除の手続きに際して破産に至った事情や破産後の状況について、それぞれ200字以上の記載を求めるなど、過剰な個人情報の収集を行っていました。加えて、本件サイトには大量の情報配信を可能にするCDN(コンテンツ・デリバリ・ネットワーク。サイトにアクセスしようとするエンドユーザに最も近いPoP(配信拠点)から効率的かつ高速にWebを配信する仕組み)が使われ、かつ、当該CDNには海外を拠点に構え個人特定が事実上困難になるサービスが利用されていました。

以上の点等を総合すると、本件サイトの開設者の目的は、本件サイトの存在を広く周知させ、掲載された情報が広く周知されることによって個人が特定されることを懸念する当事者等から、削除請求に対する対応に仮託して、さらなる個人情報を得ることであったと見ざるを得ず、「データに基づいて判断する国になってほしい」などと言う本件アカウントの発言は信用できるものではありません。

2.依然として残る危険性

報道によりますと、2019年3月19日未明に、本件サイト開設者から、個人情報保護委員会に対して、本件サイトを閉鎖するとの連絡があったとのことです。しかし、上述したような本件サイト及び本件アカウントの言動に鑑みると、依然としてまだ次のような危険が残っているといえます。

1つ目は、サイト再開の危険です。本件サイトはたしかに現在は閲覧ができない状態ですが、この閉鎖状態が継続するという保証はありません。あるのは本件アカウントの「閉鎖します」という言葉だけです。既に述べたとおり、本件アカウントの発言は矛盾があるなど、およそ信頼できないと考えます。

2つ目に、本件サイトのデータや本件サイトのプログラムが第三者に譲渡される危険があります。
本件サイトのデータ及びプログラムは電子データであり、その譲渡や複製は極めて容易です。データの削除や再生の不可能化など、データやプログラムの帰趨について確認しなければ、過去に破産等の手続きを利用した当事者等の不安は払拭されません。実際に、本件アカウントからは、本件サイトのドメイン名の譲渡をほのめかすようなツイートがなされており、予断を許さない状況です。

3つ目に、削除請求の際に取得した情報の扱いが確認できないことです。本件サイトの開設者は削除請求に際して、破産等に至った事情や現在の生活状況を書かせたり、種々のセンシティブな個人情報を求めていました。
これらの情報については、官報により公告された事項を超えた内容を含むものです。本件アカウントはこれら新たに取得した情報についても「削除する」と述べているものの、削除の保障はありません。サイト開設者を特定した上で、これら情報の削除を求める裁判手続をすることも必要であると考えます。

3.名誉毀損・プライバシー権侵害を明確にさせる必要性

官報に掲載されている情報であっても伝達範囲は、事実上これを閲覧する者に限定されており、官報に掲載されているからといって実質的にも世間で周知される情報であるということはできません。官報が公表情報であるから、これを加工してウェブサイトに掲載することについて問題ないと本件サイトを擁護する意見もありますが、必ずしもそのような結論とはなりません。公開情報であったとしても、その公開される範囲を広げることが権利侵害であると判断する裁判例も散見されるところであり、また、個人情報保護委員会が指摘するように個人情報保護法の観点からも問題があります。

一般に、破産等の経験があることは、経済的信用が低いこと、金銭管理が不得手であるなど、社会的評価を下げる事実であり、これを公表することはその人の名誉を毀損する行為であり、プライバシーを侵害する行為です。
また、破産手続をしたということについての偏見に曝される不安を本人や家族に与えるものです。破産等の手続きは、法律によって認められた制度であり、様々な事情により債務を負ってしまった人たちが、再出発するための制度です。しかし、本件サイトのようなウェブサイトによって、破産等の個人情報が広く人々の目に留まると、周囲から破産手続き等を行ったことを指摘されるのではないか、就職のときに発覚するのではないか、などとの恐怖を感じながら生活することになり、平穏な生活を害されます。また、現時点で債務を抱えている方も、そのようなことを不安に思い、破産手続き等によって再出発することを躊躇しかねず、取り返しのつかない事態を招きかねないものです。

本件サイトは閉鎖を宣言しましたが、同様のウェブサイト等が立ち上がる可能性も否定できません。しかし、上述のように、公表情報であっても、名誉毀損およびプライバシーの侵害は成立しうるものです。
上記のような本件サイトを擁護する意見も出ている状況に鑑み、今後、類似事案が生じる可能性があることにも鑑みて、法的な問題点を明確にしておく必要もあると考えます。

4.今後の弁護団の活動予定

これまでに述べた理由などから、当弁護団は今後も活動を継続し、「本件サイトによる害悪の完全な除去」と「今後の同種事案の発生の防止」を目指すものです。

当面、弁護団は、本件サイトの開設者を特定することに全力を尽くします。具体的には、①ドメイン登録者の情報開示請求、②当初契約していたと思われる国内サーバ会社への発信者情報開示請求、③米国サーバ会社に対する情報開示請求、④検索広告サービス提供会社に対する情報開示請求などを検討しています。また、これ以外にもより迅速な手続きが可能なものがあればそれについても積極的に活用して参ります。

次に、特定された対象者に対して、上記の「本件サイトによる害悪の完全な除去」を目的として、損害賠償等の請求を行う予定です。ただし、損害賠償等の請求の目的は、上記のとおり「本件サイトによる害悪の完全な除去」と「今後の同種事案の発生の防止」にあるため、本件サイトに掲載された人たちの被害回復を目的とした集団訴訟の提起については、別途の検討を要すると考えております。

さらに、上記の目標を達成するために必要な範囲で、①弁護士会・法務局に対する人権救済申立て、②個人情報保護委員会に対する処分等の求め、③破産等公告の在り方に関する関係各所への提言・申し入れ、④名誉毀損、個人情報保護法違反その他の刑罰法規違反を理由とする刑事告訴・告発について検討を進めて参ります。