個人クリエイターでもクラファンで裁判資金を調達し、泣き寝入りせず戦い得るという例を示したい

個人クリエイターでもクラファンで裁判資金を調達し、泣き寝入りせず戦い得るという例を示したい
現在の支援総額
1,111,000
111%

目標金額:1,000,000円

支援者数
167
残り
終了

このプロジェクトへの募集は終了しました。

映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』が、私久美沙織に無断で、私が創作した主人公への特別な呼びかけ「リュケイロム・エル・ケル・グランバニア」を「リュカ・エル・ケル・グランバニア」と改変して使用したことについて、提訴いたしました。

プロジェクト詳細

【なぜ資金が必要か】

 当初は「製作委員会を相手方とした」「非金銭」の「本人訴訟」でした。これならば数万円規模の印紙・切手代だけで戦えます。お金を掛けないでも戦えるという事例を作りたいと思ったのです。

 ですが、この方法は、法令上は可能であっても裁判実務に馴染まないとのことで(後述)、実務に詳しい法律事務所アルシエンの河野冬樹弁護士にお願いすることになりました。クリエイターの権利を尊重して欲しいと主張する裁判で、弁護士に手弁当で働いていただくことを期待するのでは筋が通りません。しかるべき報酬が必要ですし、電話会議やリモート面談を活用していただくにしても最小限の旅費や事務費用は必要です。非金銭でなくし、相手方を製作委員会ひとつでなく複数の個人・企業となると、裁判所に納める印紙・切手代も増えます。その費用の支援をお願いいたします。

 参考 https://yahoo.jp/box/gAtAMI

【プロジェクトの目的】

 現在、著作権をめぐる問題がおきた際、クリエイターが声をあげにくい状況があります。権利を主張すれば不利な扱いを受けることを心配しなくてはならないからです。

 また、大きなコンテンツ企業を相手とする勝てるかどうかわからない裁判に数十万円を用意できるだけの資金的なゆとりがあるとも限りません。

 対等な立場で主張する場に立つことさえできないこともあるはずです。今回の費用は、私にとっては、なんとか捻出できない額ではありません。ですが、あえて、広くみなさまがたに支援をお願いすることで、弱い立場のクリエイターでもクラウドファンディングの支援を受ければ戦える、という実例を作りたいのです。

 

「久美沙織さんは勇気があると思いますか?」というタグを見たことがあります。

 当然のことをするのに勇気が必要になるような社会なら、変えていきたいと思います。

 

 

【謝礼と清算】

 経緯をまとめた冊子を謝礼物とすること等も検討いたしましたが、今回は寄付型で進めたいと思います。支援してくださるかたただけでなく、どなたさまにもひろく情報提供するべきものと考えるからです。

 この裁判へのご支援は、私個人ではなく、いまの、そして、これからの、クリエイター全員に対してのご支援と考えます。

 勝てるか負けるか、勝てたとしても賠償額が幾らになるのかわかりませんし、一審で済むかもわかりません。多様な結果ごとに場合分けして清算するのは煩雑すぎ、時間もかかりすぎるので、クラウドファンディングのシステムにおいて保証するのは難しいようです。ですから、私を信じてくださいとしか申し上げられないのですが、ご支援を使った結果、勝訴して「久美沙織が儲る場合」には、その分は「恩送り」にし、今後、同じような苦境にたち、勇気をもってクリエイターの権利を守ること志すかたのためにお使いすることを誓います。

 

【裁判のやりかたを変えた理由】

 提訴後、裁判実務には、素人が法令や判例を調べても分からない習慣(「お作法」と言われる)があること分かってきました。たとえば、権利侵害が認められる場合でも、その程度が低いときには、金銭賠償は認めるが謝罪広告までは認めないのが相場、といったことです。非金銭つまり謝罪広告しか請求しない提訴だと、権利侵害を認めつつ賠償は何もない、という奇妙な状況があり得る、ということになりますが、それはどうも具合が悪いようなのです。

 分野によっては弁護士向けの「お作法本」も出ています。しかし、民事訴訟全体に占める知財裁判の割合は小さく、知財裁判の中でも著作権関係の割合は小さく、著作権を巡る裁判の中でも表現の著作物性等を争う訴訟の割合は小さくなっています。民事訴訟は年間十数万件ありますが、著作権関係の訴訟は年に数十件、著作物性等を争う訴訟は何年かに一件ぐらいです。よって素人が勉強できる「お作法本」もありません。

 「クリエイターを軽視しないで」というメッセージを発するという『大目的』のためには、「製作委員会を相手方とした」「非金銭」の「本人訴訟」という『方法』に拘るべきではないと考えるに至ったため、弁護士をお願いすることとしたのです。

 

【担当弁護士より】

弁護士の河野冬樹と申します。

普段、著作権を中心に、個人のクリエイターの方への法的支援に取り組ませていただいております(私の活動の状況は、主に下記のTwitterをご覧いただくと詳しいかと思います)。

実は私自身、この問題につきましては、ご相談を受ける前から、関心を持ち、意見を表明していたところでした。この問題は、単なる一映画のキャラクター名の問題ではなく、二次利用の場面における出版社と作家の関係性のあり方そのものが問われる問題と考えております。

その問題意識については、訴訟での戦略にもかかわるためここに具体的に記すわけにはまいりませんが、本来の法の建前から言えば、作家の側がコンテンツの著作権を有し、出版社は出版権の設定を受けるとともに、二次利用においては窓口として委任を受けているにすぎません、しかしながら、実際にはコンテンツの利用においては、企業の力が強く、クリエイターの意向は軽視されがちという残念な現実が存在しています。

今回、本件について当事者である久美先生からお声がけをいただき、ご縁を感じるとともに、改めて、クリエイターの方が声を上げることによって上記のような現実を変えていく必要があるとの思いを新たにさせていただきました。

ぜひ、ご支援を賜れれば幸いでございます。