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自治医科大学 修学資金制度 違憲・違法訴訟

自治医科大学 修学資金制度 違憲・違法訴訟

自治医科大学 修学資金制度 違憲・違法訴訟
現在の支援総額
62,544
2%

目標金額:2,500,000円

支援者数
14
残り
69

このプロジェクトは「全額支援型」です。目標達成に関わらず、2026年01月30日 23:59:59 までに集まった金額が支援に使われます。

本訴訟は、自治医大の修学資金制度が、憲法・民法・労働基準法・消費者契約法などに反していないか、その違憲性・違法性を問うものです。医学生や若手医師の自由と人権、そして、声を上げられずに苦しむ仲間の未来のため、是非ともご支援をお願い致します。

プロジェクト詳細

「医師になりたい」「地域医療に貢献したい」――その志が、人生や家族の生活を犠牲にすることでしか叶えられない社会で、果たして本当に良いのでしょうか。202535日、私は母校である自治医科大学(以下「自治医大」といいます)と愛知県を相手取り、修学資金返還義務の不存在等を求める訴訟を提起しました。この裁判は、私自身や家族のためだけでなく、「地域枠」を含め、類似の制度の下で苦しむ多くの仲間たち、そして、将来医師を志す全ての方々のためのものです。

 

【制度の問題点と実体験】

■ 入学時の「受験妨害」と強制的な契約

私は愛知県の出身で、高校3年生の当時、家庭の経済事情から地元にある国公立大学の医学部を第一志望としていました。しかし、自治医大に合格した直後「国公立大学の受験日と同じタイミングで愛知県庁で入学手続きをするように」と指示され、国公立大学の受験を事実上断念せざるを得ませんでした。そして、その場で2,000万円超の高額な修学資金貸与契約にサインをするよう迫られ、詳細な説明もないままに「卒業後、約10年間の『義務年限』の間、指定された地域・診療科で勤務しなければ、全額一括返済」という重い「義務」を背負わされました(以下「本件義務」といいます)。

■ キャリア選択の制限と「後出し」の条件変更

入学して3年ほど経った頃、義務年限のうちに専門医資格を取得できる診療科が「内科・総合診療科・整形外科の3つだけ」と、愛知県から突然に告げられ、医師としてのキャリア選択が著しく制限されました。このように、勤務の条件を「後出し」で変更するような姿勢は、受験生や家族の信頼を大いに裏切るものであり、許されないものだと考えます。

■ 家族の危機と生活困窮

卒業後、愛知県職員として地元病院で研修医として勤務する中、父の失職・妻の妊娠・弟の病状悪化が重なり、私の家族の生活は困窮。「公務員の身分のままでは(臨床研修の修了後に)アルバイトもできず、家族を養えない」と何度も勤務条件の緩和を求めましたが、自治医大も愛知県も頑なに、一切これに応じませんでした。

■ 退職強要と高額な返還請求

やむなく退職を決意すると、自治医大・愛知県から「利息・損害金を含めた約3,700万円を一括返済せよ。減額・分割不可」と通告されました。この金額は、当時の私の月間給与の約100倍であり、到底、支払えるものではありません。

 

【法的な問題点】

1. 憲法221項違反(居住・移転の自由の侵害)

自治医大・愛知県は卒業生の勤務先・勤務地を一方的に指定し、居住の自由を大きく制限しています。居住・移転の自由は、精神的自由の側面も強く、公益目的であっても「極めて強い要請」や「高度かつ緊急の必要性」がなければ制約してはならないはずです。しかし、本件はその基準を満たしていません。よって、本件義務は、憲法221項に反し、無効と考えられます。

2. 憲法89条後段違反(公金の適正管理・民主的統制の欠如)

憲法89条後段は、公金は「公の支配」に属しない教育の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならないと定めています。自治医大は、国立大学法人法のような民主的統制が及んでいるとは言い難く、実際に、このような「お礼奉公」の制度が継続されている背景として、民主的統制の欠如による影響が考えられます。よって、自治医大の存在それ自体が憲法89条後段に反しており、本件義務は無効と考えられます。

3. 労働基準法141項柱書違反(有期雇用の上限超過)

労基法141項柱書は、有期雇用契約の上限を原則3年、例外でも5年(医師はこちら)と定めていますが、本件義務は約10年もの長期にわたり、卒業生の人身を拘束するものです。よって、本件義務は、同法に反し、無効と考えられます。

4. 労働基準法16条違反(違約金・損害賠償予定の禁止)

労基法16条は、「封建的な労働慣行」を禁止し、労働者の退職の自由を確保すべく、使用者が労働契約の不履行について違約金ないし損害賠償額を予定することを禁じています。私は、退職を決意した後、自治医大より、月間給与の約100倍もの巨額を一括で返還するよう請求を受けました。これこそ、労働者の退職の自由を不当に拘束し、封建的な労働慣行を再現するものに他なりません。よって、本件義務は、労基法16条に反し、無効と考えられます。

5. 消費者契約法違反(91項・10条)

本件義務は、年10%の損害金、年15%の遅延損害金など、一般的な奨学金の利率(年1%前後)や法定利率(年3%)を大きく上回る高額な負担を課しており、消費者契約法911号(解除に伴う平均的損害額を超える部分の無効)および同項2号(年14.6%を超える部分の無効)に反すると言えます。さらに、本来、認められるべき「やむを得ない場合の免責」(準委任契約として。民法651条の準用)が認められず、また、自治医大に損害が発生していない(愛知県の拠出する自治医大への負担金は減額されない)にもかかわらず、このような負担が課されているとの点で、同法10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)にも反すると言えます。よって、本件義務のうち、そのような損害金・遅延損害金を定める部分は、同法91項および10条に反し、無効と考えられます。

6. 民法90条違反(公序良俗違反)

上記のように、諸法令に反するとも言うべき過度な拘束や高額な返還義務は、まさに公序良俗に反し、民法90条により無効と考えられます。

 

【原告の思いとSNSでの発信】

私は、家族や生活を守るため、やむなく退職しました。現在は非常勤医師や産業医、医師国家試験の予備校講師など複数の仕事を掛け持ちし、ようやく家族を養うことができています。退職後、家族との時間も増え、弟のケアにも関われるようになりました。

X(旧Twitter)でもつねづね発信している通り「医師不足や地域医療の課題は深刻だが、その解決策が、未来ある医師や医学生の人生を法的に拘束し、自由を踏みにじることであってはならない」と強く思います。僻地や地域における、医師が自ら働きたくなるような職場・環境づくりこそが、唯一無二にして、本質的な解決策です。しかし、国や都道府県は、本件義務や「地域枠」の存在に甘んじ、この半世紀、その解決策から目を背け続けています。

これらの制度で苦しんでいるのは自分だけではなく、声を上げられず、人生を諦めた仲間が多くいます。中には、精神疾患の発症や自殺の企図に至ってしまった医師や医学生も存在します。もはや、国や都道府県に対し、目を背けるための口実を与え続けてはならないと考えます。

私が立ち上がったのは、自分や家族のためだけでなく、同じように苦しむ人々の救いになればとの願いからです。これらの制度の違憲性・違法性が認められてはじめて、国や都道府県は、医師や医学生の自由と人権について、真剣に向き合うことでしょう。そのような未来を勝ち取るべく、この裁判、最後まで戦い抜いてまいる所存です。

 

【ご支援の使途】

皆さまからのご寄付は、弁護士費用・裁判費用のために活用させていただきます。

 

【お問い合わせ・情報発信】

ご不明点・ご質問や取材のご依頼は、下記までご連絡ください。また、裁判や制度の問題点については、私のX(旧Twitter)アカウントでも随時、発信しております。

X(旧Twitter):@drdaip

メールアドレス:jichiidai_lawsuit@icloud.com

一人ひとりのご支援が、何よりも支えとなります。是非とも、ご支援の程を賜われれば幸いです。

 

原告医師 中村